2005年08月08日

画材Q&A 第11回 アクリル絵具と油絵具の併用について(後編)

今回はアクリル絵具と油絵具の併用の仕方です。

前回説明したように、アクリルは水性、油絵具は油性です。水と油は分離しますね。なので、併用といっても絵具同士を混ぜたりすることは出来ません。また、油の上にアクリル絵具をのせることも出来ません。

基本的にはアクリル絵具は下地として使い、その上に油絵具で仕上げていく描き方になります。
アクリルの速乾性を活かして、ベースになる色を置いたり、モデリングペーストなどを使い、ナイフや筆で盛り上げてをマチエールを作るなどすると、絵具の塗り重ねがスムーズに行えます。早く乾燥してほしい箇所や下地とその上からのせる絵具が混ざってほしくないとこなどはアクリルを使用すると便利です。

時間との戦いである受験生には、自分の作品に合ったアクリルでの下地の作り方を研究することは重要だと思います。
posted by ユガカ at 19:39| 千葉 ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | 画材Q&A | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月06日

画材Q&A 第10回 アクリル絵具と油絵具の併用について(中編)

前回はアクリル絵具の特性について書きました。
今回は油絵具の特性について。アクリル絵具と比較しながら説明しましょう。

油絵具の展色材はポッピーオイルです。油絵具はその名のとおり油性です。
前にも書きましたが、乾燥は展色材のポッピーオイルが空気中の酸素と化学反応することで起きるので非常に遅いです。
この乾燥スピードが遅いことによって、滑らかなグラデーション、微妙な色調を表現できます。この点がアクリルとは違います。
他にもアクリルは乾燥することで絵具の体積が減りますが、油は変化しません。また乾燥してもツヤを失わないため、乾いても色調は変化することはありません。
要するにアクリルは描いてる途中と絵具が乾燥した後ではマチエールや色調が変化してしまい、制作中のイメージと仕上がりが別ものになってしまう。逆に油は制作途中と仕上がりでの変化がないことが挙げられると思います。

さて次回はいよいよ併用について。
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2005年08月05日

画材Q&A 第9回 アクリル絵具と油絵具の併用(前編)

絵具と一口に言っても、その種類は多種多様。様々な画材を駆使して1枚の絵を描くことも珍しくありません。
今回はアクリル絵具と油絵具の併用について。まずはアクリル絵具の特性を理解しましょう。


アクリル絵具はアクリルポリマーを展色材としています。
アクリルは水性です。

水で溶いて使うので地球にも体にもとてもヘルシーな画材です。油絵具と比べると乾燥は恐ろしく速いです。ので、絵具の伸びが悪く、微妙なグラデーションを表現するのにはあまり向きません。

乾くと耐水性。乾燥することで10%〜20%ぐらい絵具の体積が減り(水分が蒸発するため)、色味も白っぽくなってしまいます(ツヤが退けるため)。

最近ではメディウムの種類も充実し、乾燥時間を遅らせたり、盛り上げたりすることができます。

アクリルは意外と油絵具の進化系だと思われがちですが、どちらかといえばテンペラ絵具が進化したものだと考えた方が良いでしょう。
posted by ユガカ at 10:58| 千葉 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 画材Q&A | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月19日

画材Q&A 第8回 〜絵具の硬さ〜

「チューブから直接出した絵具ってそのままだとなんか描きづらい。」そんな風に感じたことはないだろうか?一日ぐらいパレットに出しっぱなしにしておいた絵具のほうが描きやすかったり...。
描きづらいまま絵具を使って変にストレスを溜めるよりは、絵具の硬さを自分の使いやすいようにコントロールすればいいんです。
方法としては2つ。

(1)炭酸カルシウムを絵具に混ぜる。

(2)油抜きをする。

(1)は炭酸カルシウムという体質顔料(画材店で市販されています。重質炭酸カルシウムと沈降性炭酸カルシウムの2種類があるので、沈降性炭酸カルシウムを使うようにして下さい。)を絵具にナイフで練り合わせ硬くします。混ぜる量が多ければ多いほど硬くなります。しかし混ぜすぎるとヒビ割れ、剥離をおこします。また色も鮮やかさも失います。

050419-02.jpg

(2)はいらなくなった雑誌や新聞紙に絵具を出し絵具の油を吸わせます。絵具に含まれる油の量が減るので硬くなります。時間をおくほど硬くなっていきます。この方法だと色の鮮やかさをそこなわないで硬さを調節出来るのでおすすめです。

050419-01.jpg

以上のようにして絵具を自分に合った硬さに調節して快適に制作しましょう。
posted by ユガカ at 11:22| 千葉 | Comment(0) | TrackBack(0) | 画材Q&A | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月14日

画材Q&A 第7回 〜染料系に注意!〜

油絵具の顔料には無機顔料、有機顔料、ボデー顔料という3種類があります。
その中でも有機顔料というのがクセ者。これは下地など、最初から使うと上に重ねた絵具に染みだしたりして、使い勝手が良くありません。(俗に”染まる”などという。)
これは無色の顔料に色をしみ込ませてつくった顔料なので、時間とともに色が溶け出してしまう為です。
有機顔料、染料系は確かに透明感がありキレイなのですが、下地には使わず、最後の最後にグレーズで使用するようにした方が良いでしょう。値段が安いからといって、初心者は手を出さない方が無難です。
名前にレーキ、マダーがついているものは染料系の絵具です。(それ以外の名称のものもあるので注意。)
高くても無機顔料のカドミウム、コバルトなどを使うようにしましょう。
posted by ユガカ at 17:40| 千葉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 画材Q&A | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月13日

画材Q&A 第6回 〜ホワイトの種類〜

ホワイトと一口に言ってもたくさんの種類があります。ここではそれぞれのホワイトの特性を紹介します。

ジンクホワイト;固着力が弱く、下地などに使うと亀裂、薄利の原因になります。隠蔽力(*下の色を覆い隠す力)が弱いので、混色すると少しの量で色が変化します。人体に対して無害。微妙な色味を描くときに便利。はかない感じのホワイト。

チタニウムホワイト;固着力が強く、隠蔽力も抜群に強いホワイト。隠蔽力があまりにも強いので、混色にはかなりの量を混ぜないと変化しません。人体に対して無害。ハイライトなど白を効かせたいときに便利。強力な感じのホワイト。

シルバーホワイト;固着力は強いが、隠蔽力は中くらい。人体に対して有害。程よい隠蔽力なので、混色して色を作るのに便利。万能タイプのホワイト。

他にもパーマネントホワイト、ファンデーションホワイトなどがあります。
個人的にはシルバーホワイトとチタニウムホワイトを持っていれば十分だと思います。
posted by ユガカ at 12:57| 千葉 | Comment(0) | TrackBack(0) | 画材Q&A | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月12日

画材Q&A 第5回 〜グレージングオイルの調合〜

市販されているペインティングオイルも良いのですが、経済的には自分で調合した方が割安です。
ここでは古典的なグレーズ(*絵具を薄く溶いて使う技法)に使用される画用液のレシピを紹介します。

ベネチアンテレピン(2)

スタンドオイル(4)

ダンマル樹脂溶液(9)

テレピン(9〜17)

それぞれのオイルの横にある数字の比率で混ぜ合わせます。

グレーズ用の画用液ですが、ペインティングオイルと同じように描き始めから仕上げまで使っても問題ないでしょう。
posted by ユガカ at 09:40| 千葉 | Comment(0) | TrackBack(0) | 画材Q&A | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月11日

画材Q&A 第4回 〜ダンマル樹脂溶液〜

画用液の一種類で、絵具を乾燥させる為の骨材です。簡単に言ってしまえば見せかけの乾燥をさせる画用液です。厳密には違うのですが速乾剤の一種だと思って良いでしょう。乾いてもテレピンで再び溶け出してしまいます。通常は単独では使用せず乾性油と混ぜて使ったりします。
画用液として市販されてますが、自分で作った方がお得でしょう。
固形のダンマル樹脂をストッキングなどに入れ、ティーバックの要領でテレピンに一昼夜浸します。(テレピン200mlに対しダンマル樹脂100gの割合が目安です。)ダンマル樹脂が溶解したらできあがりです。
posted by ユガカ at 16:50| 千葉 | Comment(0) | TrackBack(0) | 画材Q&A | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月02日

画材Q&A 第3回 〜速乾剤について〜

油絵具は水彩絵具やアクリル絵具などと違い、乾燥にとても時間がかかります。受験など短時間での制作には速乾剤を使うと便利でしょう。通常3日ぐらいかかる乾燥時間を1時間ほどに短縮してくれます。(*絵具の種類によって異なります。)
画用液としてはシッカチーフが代表格ですが扱いが難しいので、アルキドクイックドライングなどの表記のある画用液がおすすめです。
また、チューブタイプで、絵具に直接混ぜ合わせて使用するものもあります。
posted by ユガカ at 09:38| 千葉 | Comment(0) | TrackBack(0) | 画材Q&A | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月31日

画材Q&A 第2回 〜画用液(オイル)について〜

油絵に使うオイルは大きく分けて

揮発性油;テレピン、ターペンタイン

乾性油;リンシード、ポピーオイル

の2種類があります。

揮発性油は簡単に言えば水彩絵具の水のようなもので、絵具を薄めたり、筆を洗ったりするのに使います。

乾性油は絵具の固着力(接着力)を強める為に使います。描き進めながら揮発性油に少しずつ足していきます。

しかし、揮発性油と乾性油で描き進めていくには経験と感が必要です。
初心者には描き始めから仕上げまで使えるペインティングオイルが便利でしょう。
posted by ユガカ at 14:17| 千葉 | Comment(0) | TrackBack(0) | 画材Q&A | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月29日

画材Q&A 第1回 〜絵具とは?〜

顔料(色の粉末)と展色材(糊の役目をするもの)を練り合わせたものです。

水彩絵具=顔料+アラビアガム

アクリル絵具=顔料+アクリルポリマー

油絵具=顔料+乾性油(ポピーオイル)

このように展色材の違いによって絵具の種類も変わってきます。
posted by ユガカ at 15:34| 千葉 | Comment(0) | TrackBack(0) | 画材Q&A | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする