道すがら外の景色を眺めていると、まだ桜は咲いていないようです。
でも梅はぽつりぽつりと花をつけていました。
入試もおわり、今日から春期講習会です。
気分一新、油画科へと新たに進路を決めた学生と、顔をつけ合わせながら実技指導をしていきます。
まず最初の課題は木炭デッサン。
モチーフを良く観察しながら、木炭という画材を使いこなして自分が見た形や色や印象を、あれやこれやと試行錯誤しながら紙に定着させていって欲しいものです。
今は成果を出す時期ではなく、種を巻く時期です。これから色々なことを吸収して、色んな養分を吸い込んでいって下さい。これから絵を続けて行くことで、嵐が来ることもあるかもしれないし、日照りが続くこともあるかもしれないけど、でもそういうことに耐性をつけて、自分なりに答えを出して行くことはとても大事なことです。
技術はいくらでも教えられます。今の教育や世の中の課題って、そういう技術とか教わったものを、いかに自分で噛み砕いて社会の中で意味のあるものに変えられるかってことだと思います。「ゆとり教育」の本当の狙いもそこにあったわけですよね。(実際には上手くいかなかったわけですが…)
「表現」するためには、ただただ教わったことをトレースすれば良いなんてことはなくて、自分のこと、相手のこと、世の中のこととか、そういったことについてバランスをとりながら、でも自分のやりたいことを見失わずにいなければならないわけで。最終的にはそういったところまで視野にいれて作品を作っていかなければならなかったりします。
でも、万里の道も一歩から。今はどれだけ色んなことに興味をもって、色んな経験が出来るか、色々なことを身につけられるかが重要です。
僕は水耕栽培の工場で必要最低限の栄養で短時間に育った作物なんかより、やっぱり自然の中で育った作物の方が味も風味も違うし、美味さも違うと思います。お手軽に、インスタントもいいけど、「絵描き」とか「アーティスト」を本気で目指すなら、人が経験していないことをどれだけ経験したか、目的までどれだけ遠回りできたかで「成果」は天と地ほど差が出たりするんじゃないかなぁ〜なんて思ってます。
これから入試まで、長いようで短いです。密度ある1年を送って行きましょう!
がんば!
ichi
美大受験はアーティストへの第一歩。油画科