2006年03月30日

連載小説 『赤レンガの門』 第二十四回

午後七時五十分。
全速力で人混みのなかを駆け抜けていた。
「あと十分で画材屋がしまる!」

G大の1日目の試験終了後、予備校に戻り本田先生と相談した結果、
「デッサンに使えそうな画材をひたすら買ってきて、手当たり次第に試そう。」ということになった。
そして僕は、先生から借りた二千円を握りしめ、画材屋まで全力疾走しているというわけだ。

なんとか閉店直前の画材屋に辿り着き、鉛筆、黒鉛、パステル、コンテなどの画材を買えるだけ買い込み、すぐさま夜の街を逆方向に疾走するのであった。

予備校に戻り、色々と試した結果、コンテチョークが一番しっくりきた。これでとりあえず何とかなりそうだ。
時計の針は十時を回っていた。
「明日も頑張れよ。」
そう声をかけられ帰宅する。

次の日。
モデルさんは相変わらずピシッとポーズを決め、さすがプロという感じだ。若いのに。
僕は何とかイメージどおりに木炭を描き上げ、ほっと一息ついた感じだった。昨日はどうなることかと思ったが、人間、やる気になれば何とかなるものだ。

明日からの二日間は油彩の課題になる。木炭はこのぐらい描けていれば何とかなるだろう。油画科の試験なんだから油彩が一番ウエイトが重いはずだ。
「とりあえず首の皮一枚つながったかな。」

空高くそびえ立つ絵画棟を背に、また、てくてくと家路へと向かう。
試験終了まであと二日。

つづく

posted by ユガカ at 10:42| 千葉 | Comment(0) | TrackBack(0) | 連載小説 『赤レンガの門』 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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