日も傾きかけた夕刻。
予備校の廊下では浪人生は喫煙所で一服し、現役生は和気あいあいとご飯を食べながらおしゃべりをしている。ため息を隠すかのように口から煙を吐き出す浪人組。希望に満ちあふれた言葉が会話から溢れ出る少年少女たち。両者は対極的だ。
「俺も2年前はああだったな...。あの頃に戻りてぇ。」
呟いた瞬間、後ろから思いっきり後頭部をはたかれた。振り返るとそこにはレオナルドが。
「お前はそんなこと言ってるからダメなんだよ!」
大きく煙を吐き出し、斜め45度の流し目で睨まれた。
「覇気がないんだよ、覇気が。」
「いや、なんか...。そうですよね...。」
「そうだよ。後ろばっか見やがって。絵ってのは技術で描くもんじゃない。気持ちだよ。気持ち。コンビニ弁当と心のこもった手料理だったら、手料理の方が美味いだろ。」
「先生、その例えよくわかんないです。」
「そうか?とにかく、心。絵にも真心が大切ってことだよ。浮ついた気持ちでいい絵なんか描ける訳ないんだよ。精神を集中してモチーフと向き合う。そこで何を感じることが出来るか。描き方とか、スタイルじゃないんだよ。」
「絵って奥深いですよね。」
「そうだな。画家ってのはそれを一生かけてやってくんだから。相当深いよ。」
「ですよねぇ...。」
「だからこそ、前を見て一歩でも先にいかないと。時間は待ってくれないからな。」
二人しみじみと沈む夕日を眺めながら、それぞれの絵画に対する情熱を新たにするのであった。
つづく
2006年02月25日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/13751335
この記事へのトラックバック
http://blog.seesaa.jp/tb/13751335
この記事へのトラックバック


