「なんか普通っぽいていうか、どっかで見たことあるっていうか、もっとこう、スコーンとしたの描けないかな?」
講評棒で床をつつきながらレオナルドは僕の作品を見て呟く。そして最後は決まってこうまとめられる。
「ある程度描けるのは認めるけどさぁ。絵に尾大らしさが出てないんだよ。」
「自分らしさって何だ?」
毎回講評のあとで考えさせられる。僕はただ普通に描きたいだけなのに。
「普通じゃだめなのか?」
そんな疑問をある時、もう一人のクラス担任である蟹沢先生にぶつけてみた。
「僕はただ見たまま描きたいんです。わからないんですよ。世界観とか、個性とか。僕は赤い物は赤く、黄色い物は黄色く描きたいんです。」
「まぁ言いたいことはわかるよ。そうだな。見えたまま描けばいいんだよ。ただ、本当に自分に見えているように、感じているようにね。でも僕が見る限りでは、まだやっぱり、尾大は周りが決めた常識で絵を描いているって感じがするな。こうしなきゃいけない、こう描かなきゃいけないってね。それが悪いって訳じゃないけど、それが尾大の本当に描きたいことを邪魔してる感じなんだよな。」
「....はぁ。」
さっぱり訳がわからず、うなずくのがやっとだった。
「本当に描きたいことを邪魔してる...。」
「まぁ考えてわかるもんでもないから。とにかく手を動かすことだよ。」
「はぁ。」
質問したものの、なんだかよけいに考えることが増えた気がした。
つづく
2006年02月19日
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