2006年01月29日

連載小説 『赤レンガの門』 弟九回

電車のなかは晴れ着を着た女の子、慣れないスーツに身を包んだ男の子で一杯だった。
高校は私立に通っていたので地元の知り合いに会うのは約5年ぶりになる。僕はなるべく知り合いに会わないことを祈りながら顔を伏せて座席に座っていた。
多分この車両にいる何人かは小学校か中学校のクラスメイトであるだろう。思い出したくもない、あんなことやこんなことを知っている人達。
別段、それほど恥ずかしい過去もないが、やはり、数年ぶりに知り合いに再会するというのはあまり気持ちのいいものではない。
知り合いの頭のなかにいる僕は、やはり過去のままで止まっているのだ。彼らと会うということはそんな過去の自分と向き合うことでもある。
それに僕は受験に二度失敗し、久々に会っても自慢話の一つもない。

そんなことを思いながら一人ぽつりと成人式の会場まで向かった。
会場は華やかなムードで、みんなお祭り気分だった。式典は市長の話が長かったことと地元の和太鼓の会の演奏がパワフルだったことぐらいしか覚えてない。

帰り道に中学校の頃の友人二人に出会った。一人は結婚してもう子供が一人。もう一人は地元でも有名な大学に通っているという。僕は動揺を隠そうと必死で平常心を保とうとした。
その場を何とかやり過ごし僕は家路へと向かった。

つづく
posted by ユガカ at 14:47| 千葉 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 連載小説 『赤レンガの門』 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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